第二回目となる今回は、渋谷でワインバーを経営されている林伸次さん。
ワインバーを経営されながら、CDのライナー執筆など、音楽にも精通し、
沢山の記事を電子メディア媒体にて書いてらっしゃる林伸次さん、
書かれたコラムなどには多くの方が訪問されています。
林さんの普段なかなか聞けない【 結 婚 】をテーマにお話を伺いました。
賑やかな渋谷の喧騒から外れた場所にある、外観がとても可愛らしいbar bossa。
夕暮れ時の風が心地良い中、落ち着いたムードのある店内にてインタビューを行いました。
どうぞ最後まで楽しんでください。
ワインバーをはじめようとしたきっかけ
-ワインバーのお店をはじめようと思ったきっかけ。
林:
レコード店に勤めていた時にバーをやりたいと思い、
ブラジル料理店と業界人がよくいらっしゃるバーでそれぞれ2年ずつ修業をして、
1997年にワインバーのbar bossaをオープンしました。
名前からもお分かりになるかもしれませんが、
店内はボサノヴァが流れるワインバーです。
中古レコード店を辞め、バーをひらこうと思い、
何のバーにしようかと悩んでいたんですね。
ロック、レゲエ、ジャズなど、沢山あったのですが、
当時、まだ他でやっていない音楽を流すバーにしたいと思い、
ボサノヴァを流すバーが無かった事もあり、ボサノヴァバーにしました。
お店をオープンする際、各メディアへプレスリリースを出したりするものですが、
当時は27歳と若かったという事もあって、
そんな事をしなくてもすぐにお客さんが来るだろうと自信がありました。
ある日、先輩に言われた事がありまして、
「商売人がそういう態度ではだめだ。」
「これからいつか必ずお世話になるかもしれないからはじめが肝心だ。」
と怒られ、このままではいけないと思い、
急いでプレスリリースを作成し、流したところ、
雑誌社の方やテレビ局の方等、
びっくりするぐらいお客様が来てくれるようになりました。
良き先輩の助言があったからこそ、
今までお店を続けてこられたのだと思っています。
バーテンダーとしてのこだわり
-渋谷という場所で約18年間ワインバーを続けてきている林さん。
バーテンダーとしてのこだわりや思いを伺いました。
林:
実はこだわりがないんですよ(笑)
こだわりが無いのがこだわり、なんて言われるくらいなんです。
店内の小物やディスプレイ、カウンター上のお花も
アパレル関係の仕事をしていた妻の趣味でして、
私はほとんどノータッチなんです。
よく聞かれるのですが、ワイングラスはどこのですか?とか、
素敵なグラスですね、なんて言われるんですが、
私が買ってきたわけではないので答えられないんですよね。
そういう時は正直に言いますけど(笑)
お店の外観。白い壁と窓枠の赤茶っぽい色のコントラストが素敵。
アナログレコードがディスプレイされています。
壁の小物類にもセンスを感じます。
カウンター上のお花がアクセントに。
半個室もあります。
-何かこだわりや注意している事など
林:
特にこだわりがないと言いましたが、
バーテンダーにもルールがありまして、
それをバーテンダーズルールと言います。
今では経験を元に自己流でやっていますが、
唯一守っているのが、
「新規の方には常連の様に接して、常連の方には新規のお客様の様に接する」
です。
バーテンダーズルールの中でも有名な言葉ですが、
これは今でも自分の中では大切にしていますね。
-お店にいらっしゃるお客様への気配り
林:
お店に入って来られるお客様をみて、
どんなサポートをしたら良いかを考えます。
男女でいらっしゃるお客様も多く、
男性のお客様は緊張されている方が多いですね。
女性のほうが緊張されていない方が多いです。
そんな時に限って、男性が粗相をしてしまう事があって、
「素敵な女性と飲んでいるので緊張しますよね。」
なんて、ジョークの一つでも言って、
少しでも緊張がほぐれればいいなと思い、お話をしています。
また、当店はワインバーなんですけど、
あまりワインの事を知らない場合、特に男性に対してですが、
さり気なく伝えて自然と女性をエスコート出来る様にしています。
せっかくいらっしゃってくれているので
楽しい時間を過ごしてもらいたいですからね。
それとマスターは影なのであまり前に出過ぎず、
といったところでしょうか。
ワインの味や飲み方がわからないお客様のワインバーでのオーダーのコツとは
-オーダーのコツ
林:
会話の中から好みを引き出すように工夫しています。
本当はワインバーに来て、
ワインについてあまり知らない時には正直に、
「あまり飲まないので、どんなものが良い?」
と、聞いてもらえるととってもご提案しやすく、
バーテンダーとしても話しやすいです。
お客様からの嬉しいお知らせ
-ワインバーをやっていて一番嬉しかった事とは何でしょうか。
林:
よくお二人で来られていたお客様達がある日お店に来て私に話があると。
何の話しかなと思っていると、結婚する事になりました、
という嬉しいお話です。
今までデートでよくいらっしゃっていただいたお二人が
ご結婚をされるというとても嬉しいお知らせで、
お陰様で沢山の方から素敵なお知らせをいただいております。
これはワインバーをやっていて一番良かったなぁと思える事でした。
ご自身の結婚生活や結婚パーティでのエピソード
-林さんのご自身の結婚についてのエピソードを伺いました。
林:
妻とは中古レコード店時代に知り合いました。
恥ずかしながらラブレターを沢山渡してお付き合いをする事になり、
それがきっかけで結婚をする事になりました。
実は結婚式はしていなくて、
お互いの親族だけを集めて自分のお店でパーティーを行いました。
普段の自分たちをみてもらいたいという気持ちから、
どこか会場やお店を借りて行うのではなく、
自分のお店でやる事を決めました。
食べ物はケータリングを頼み、食事のサーブを私と妻で行いました。
私はネクタイを締め、シャツ、ベストを着た普段の仕事スタイルで。
妻はワンピースを着て。
ありのままの自分たちでもてなしたかったという思いがありました。
-お式を挙げられてないとの事ですが、
二人だけで何かお考えがあるようです。
林:
二人だけで結婚式を挙げたいという気持ちがあります。
結婚して13年になりますが、区切りのいい年に妻を喜ばせたいなと。
出来れば海外の教会で式を行って、
記念の写真でも撮って、
二人でおいしい食事が出来たらいいですよね。
ポルトガル語が話せるので、
海外はポルトガルがいいですね。
10日ぐらいゆっくりと。
-奥様思いの林さん、結婚をして良かった事は。
林:
妻の御飯がとにかくおいしいんです。
バーのメニューにもあるカレーですが、
以前ランチをしていた時に出していました。
今はランチをしていないのですが、
お客様のご要望が強くて今もメニューに入れています。
このカレーは妻がカレー作りにハマっているときに出来たもの。
何でバーにカレーが?とよく聞かれますが、
そういう自然な経緯があります。
また、良くないところをダメだとハッキリと言ってもらえるところ。
何があっても味方でいてくれるところ、
支えになってくれていて本当にありがたく思っています。
結婚をしていなかったら今のbar bossaの18年間はなかったと思います。
素敵な空間で終始笑いが絶えない中、
インタビューを行わせていただきました。
お人柄が素敵で、奥様思い、こんなバーテンダーがいるなら
通いたくなるバーだと思います。
18年間と長きに渡りワインバーを経営されているので、
同業の若い方々にもアドバイスをされているそうです。
bar bossaは、お一人様のご来店はお断りされているそうなので
ご友人や同僚、恋人と美味しいワインを飲みに行ってみてはいかがでしょうか。
自然体で力の抜けた感じで、且つ、凛とした雰囲気の林さんのお話は
とても素敵でした。
これからも益々のご活躍を楽しみにしております。
PROFILE
林 伸次 (ワインバーbar bossaマスター)
渋谷のワインバー「bar bossa(バールボッサ)」マスター。
レコファン(中古レコード店)で2年、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)で2年、
フェアグランド(ショット・バー)で2年勤務を経た後、1997年渋谷にbar bossaをオープン。
2001年ネット上でbossa recordsをオープン。
『ボサノヴァ』(アノニマスタジオ)に寄稿。選曲CD、CDライナー執筆多数。
ソウルのボサノヴァ好き韓国人ジノンさんとの往復書簡ブログ
「The Boy From Seoul & Tokyo」執筆中。
韓国のアーティスト、ルシッド・フォールのベスト盤
『Lucid Fall (The Best of)』の選曲と解説を担当。
近著に『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか-僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』。
著書『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』
著書『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか?』
選曲CD、CDライナー執筆多数。
■bar bossa / バールボッサ
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
TEL:03-5458-4185
営業時間:月~土 18:00~24:00 定休日:日、祝
HP:http://www.barbossa.com/
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