タキシードスタイルには《黒いエナメルシューズ》がお約束。
フォーマルなシーンで身に纏う色は黒とされていますよね。
そのため靴も必然的に『黒』
では、なぜエナメルなのかご存知ですか?
ヨーロッパの舞踏会でエナメルを履くことはエチケットの一つ。
これはエスコートをする際にドレスやカーペットを汚さないようにするためです。
エナメルのお手入れには靴磨きクリームが必要なく、靴墨でそれらを汚す心配がないことから定着したと言われています。
そこで今回は、黒いエナメルシューズについてご紹介します。
ビシッとタキシードに身を包んだら足元まで抜かりなく仕上げていきましょう。
【エナメルシューズ】
まずフォーマルシーンでは紐靴が定番です。
諸説ありますが、本場欧米では『靴紐を結ぶ手間も惜しむほど怠け者なのか』という認識から紐靴が鉄則になったとか。
“エナメル” は革を守るためにエナメル塗料を塗って仕上げられます。
水に強く汚れにくいコーティングが施され、耐久性を兼ね備えています。
この強く美しい光沢感がタキシードの拝絹部分と非常に相性が良いのです。
ちなみに “パテントレザー” とも呼ばれ、日本でも徐々に馴染みのある名称になってきました。
アメリカの発明家が開発し特許を取ったことから「特許」=「Patent」。
デザイン
つま先のデザインは、左側のように横にラインの入ったストレートチップが一番格式の高いものとなります。
次いで右側のプレーントゥ。
どちらを選んでも問題ありません。
紐を通す部分のことを羽根と呼びます。
よく見ると羽根が内側から付いているものと、外側から上に乗せたように付いているものがあります。
左側の内羽根式と呼ばれるものがフォーマルシーンに適しているタイプ。
履口が大きく開ききらず、スマートで上品な印象を与えます。
一方右側の外羽根式では羽根が全開し着脱がしやすく、カジュアルな印象を与えます。
【オペラパンプス】
さて、基本はエナメルの紐付きシューズとお伝えしましたが、例外でエナメル紐無しがこちら。
シルクのリボンが付いており、パンプスと呼ばれることから女性靴みたいですよね。
ですが歴とした男性靴。
名前の通り、オペラの鑑賞会など華やかな場面での礼装用シューズの一つ。
紐靴の説明と矛盾しますが『非日常感』を足元でも演出した文化です。
そのうち女性靴にも広まり、現在はカジュアルな “オペラシューズ” として男女共に人気があります。
昨今の感覚だと “紐靴でバシッと決めた方が格好いい” と感じる為か、万人受けというよりはパーティーシーンに慣れている方が履いている印象です。
エナメルシューズは指紋がつきやすいので、直接表面を触らないように心がけてください。
当日は万が一に備え、軽くお手入れができるように柔らかい布を持っていくと安心かもしれませんね。
また熱や湿気に弱く、左右をくっつけた状態にするとエナメルが溶けたり剥がれてしまう恐れがあります。
最近の“あるある”では靴にアルコール液が垂れて色落ちした等の事例も多く耳にします。
靴クリームでのお手入れは不要ですが、繊細なものであることは変わりませんので十分ご注意ください。
ちなみに靴下はどの靴の場合でも“座った時に肌が見えない長さ”の黒いものを履いてくださいね。
間違ってもくるぶし丈やカバーソックスはNGですよ。
多様化している昨今の風潮では、必ずエナメルシューズである必要はないかもしれません。
ですが、“敢えてハズしたコーディネート” と “知らずしてやっていたコーディネート” では与える印象も異なります。
まずは基本の知識として知っておくと良いでしょう。