前回はジャケットのデザインによる見え方の違いをご紹介しました。
初めてオーダーされる方は皆さん「え?こんなところまで選ぶの?」と細かいデザインの選択肢にとても驚かれるんですよ。
実際にそれぞれのディテールを見比べてみると、与える印象の違いがお分かりいただけたはず。
では、今回はベストのデザインを見ていきましょう。
ベストはパーツ数は少ないけれど、ボタンの数、衿の有無、フロントの形などバリエーションが豊富です。
そうそう!
『ベスト 』『ジレ』『ウエストコート』など耳にしたことがあると思いますが、実はどれも同じもので国による呼び名の違いです。
ベストはアメリカ、ジレはフランス、ウエストコートはイギリス。
う〜ん・・日本では『チョッキ』でしょうか・・(笑)
《シングル / 衿なし》
こちらが最も多くの方に着られている定番です。
ベストを初めて着る方でも抵抗なく着られるデザイン。
スーツとセットの場合は“スリーピース” 、ベストが別の生地の場合は “オッドベスト” と呼ばれます。
よーく見るとVゾーンの深さやボタンの数が違うのがわかりますか?
細かな調整で見た目の印象が変わります。
体型・雰囲気・イメージに合わせられるのはまさにオーダーならでは。
《シングル / 衿あり》
衿なしに比べてフォーマルな印象に。
基本はジャケットのラペルのデザインに揃えるとよいでしょう。
ですがオーダーを存分に愉しむなら、あまり気にせず好みの衿型を選んでオリジナリティ溢れた1着に仕上げてくださいね。
《ダブル / 衿なし》
シングルに比べて胸元が逞しく見え、実は男性が1度は着てみたい憧れのデザインかもしれません。
ビジネスシーンでは取り入れる方が少ないため、イベント感が増し、より一層特別な1着になるでしょう。
《ダブル / 衿あり》
胸元の立体感が強調され、さらに重厚感が増すデザイン。
ジャケットを脱いだ姿でも寂しい印象にはなりません。
クラシックなデザインのため年齢を重ねた方が似合うイメージを持たれる方も多いですが、大丈夫!
生地に色柄を入れてカジュアル要素を加えれば若さも残した仕上がりになりますよ。
《U字型》
こちらもU字の深さやボタンの数の違いがわかりますか?
胸元の見える面積が広いため、ピンタックなどの胸元に装飾のあるシャツと相性バッチリ!
どちらかというとバストやウエスト周りの体格がしっかりしている方が似合いやすいです。
細身の方がお召しになる場合はU字を浅めに設定するのがオススメ。
《剣あり / 剣なし》
フロントの裾が尖っている(剣先)の有無。
元々は剣先無しが主流でしたが、うっかりボタンを留めて忘れたことがきっかけで剣先有りのデザインが出てきたんだとか。
剣先無しの方がウエストの視点が少し上がるので、足長効果が期待できます。
たかがベスト、されどベスト。
メンズ衣裳の中で一番デザインのバリエーションが多いアイテムかもしれません。
そして非日常感が演出できるので、男性が一番こだわりたい部分とも言えますね。
次回はパンツ(スラックス)のデザインをご紹介いたします。
お楽しみに。