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岡野隆司のこだわりとものづくりへの愛情

Update:2017.07.25
Company:Craftsman Park


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記念すべき第十回目となる今回は、デザイナーの岡野隆司さん。

繊細でみるものを惹きつけるドレスを創り、多彩な才能を沢山の場所で発揮されている岡野隆司さんに【 デザイナー 】をテーマに、la fleurデザイナーの奥様にもご同席していただき、素敵なアトリエの中で楽しくお話を伺いました。

どうぞ最後までお楽しみください。


デザイナーになったきっかけ

岡野:ずっと剣道をしていて、高校、大学と剣道で入学しました。
卒業して就職となると、教師、警察官、自衛官など、そういう道がほとんどでしたが、それは自分が進むべく道ではないと思っていました。

大学時代の恩師が、自分の中ではとても偉大な人で、その恩師にかけていただいた言葉が、「剣は人を殺すためのものではなく、人を活かすためのものだ。」というものでした。

それと同時に「剣を持たずとも剣の道は続けられる」と教えていただきました。そして今まで続けてきた剣道をやめても、剣道を続けることはできると思い刀を置きました。

そこから、じゃあ何をしよう?ということになるのですが。

大学時代は1、2年の頃は先輩についての遊びが大方なのですが、上級生になると外部の友達とよくつるむようになりました。
その一緒に遊ぶ仲間たちはミュージシャンや洋服が好きなやつが多く、
よくライブハウスやクラブに行っていました。

また、当時はDCブームで、バイトしてブランドものの洋服を買っていました。洋服が好きということもあって、何か洋服に関わる仕事がしたいなぁと思ったことが、この世界に入るきっかけだったと思います。
そして幼少の頃から物を創る事が好きだった事もあり、服を作る仕事ができたら楽しいかなと思い始めました。

大学は大阪だったのですが、とにかく上京しなきゃ、と思って卒業後何も考えずに上京しました。

そしてバイトで貯めたお金を元手に夜間の専門学校に入り、形だけの在籍をしつつ遊びまわっていたのですが2年経った頃、担任の先生に就職先を斡旋していただき、小さなマンションメーカーのパタンナーとして面接を受けることになりました。

まだぎりぎりバブルの頃で景気が良かったのか、パターンのパの字も知らない自分を採用してくれました。

でもそこの会社の社長も元々パタンナーの方で、何もできない自分をパターン専門の学校に通わせていただき、今の土台を築くことができました。

今でも感謝しております。

そしてその会社に入る時、面接の場にいたのが奈尾美さんでした。


デザインをする上でのこだわり

岡野:常に目指しているものは、細部にまで心が行き届いた洋服。

人々の心に刻まれる服作りを常に目指しています。


デザイナーのキャリアの中で影響を受けたデザイナー、出来事、ヴィジュアルなど

岡野:音楽に一番影響を受けているかもしれません。

僕にとって音楽とは、常に生活の根底にあり、それこそ小さい時から大好きで父や姉の影響で色々なジャンルのものを聴いていました。

自分でレコードを買うようになって一番の衝撃が1977年中学2年生の時のSex Pistolsでした。
そこからPunkにハマりThe Clashにいき、そこからReggaeからDub、その後New WaveからHip Hop、その後いろいろハマっていき、社会人になってからは、お給料のほとんどをレコードとクラブに費やす生活を送っていました。

音楽以外にも興味あるものには、常にアンテナをはっていて、写真や映画、グラフィティも好きですし、その時々のユースカルチャーも好きです。


毎シーズンのコレクションテーマはどのように決めていますか

岡野:奈尾美さんと二人で、今のお互いがどんな気分か、どんな感じか、などからテーマを探っていきます。

そこから好きな音楽、好きなもの、気になる事象などを二人でどんどん出していき、方向を絞っていきます。

前回(’17 春夏)のコレクションは、大好きな都市ニューヨークに行って感じたこと、見たものからインスパイアされたものをコレクションに反映しました。

ニューヨークって一昔前は『Melting Pot (人種のるつぼ)』って言われてましたけど、今はそんなことスタンダードで、それよりももっとパーソナルなこと、例えば性の問題であったり、貧困の問題であったり、でもそれも含め受け入れているのが今のニューヨークなんです。

ニューヨーク在住の友人に聞くといニューヨークって、いろんな食材がバランスよく混ざり合ってるスープみたいだよね、って話してくれました。

その一言から『in the soup』というタイトルに決めました。
実はこれ、映画のタイトルなんです。

コレクションは様々な素材や柄が混ざり合ったパッチワークという手法を元に作りました。

その時々に自分たちがやってきたこと、感じたことがその時のテーマになっているという感じです。


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FOR flowers of Romance 17Spring/Summer Collection『in the soup』



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FOR flowers of Romance 17Autumn/Winter Collection 『FLOWERS HE SAW』


ウエディングドレスをはじめたきっかけ

岡野:大体10 年前から作り続けているのですが、具体的にウェディングのラインとしてまとめることになったきっかけが、展示会に来ていただいている方々が結婚する人が増えてきて、お客様からの要望が多くなってきたことです。

最初に入社した会社で、フォーマル寄りのパターンをひいていたこと、また、ウエディングドレスの受注もあって、ウエディングドレスのパターンの経験もあり、ドレス製作のノウハウを持っていたこともあって、はじめることに抵抗は全くありませんでした。


ウエディングドレスをデザインするときのインスピレーションとこだわる部分

岡野:基本的には普段つくっている洋服の延長線上でつくっています。
素材は大体決まっていて、薄い綿100%のローンを使用しております。
あとは所謂一般的なウェディングの王道からは外したデザインを考えています。
そして一番大事なのが下着で締め付けるドレスにはしないこと、普段着と同じような感覚で着れることを心がけています。


今まで製作したウエディングドレスの中で一番思い出のあるドレスはありますか

岡野:基本的にはお取引先からの受注をいただいて製作しているので、1着1着に思い入れはありますが思い出はありません。

ただ、たまに結婚する友人からのオーダーで作ったりするのですが、2年ほど前に頼まれたドレスは、亡きお義母様がご結婚の時に着たウエディングドレスを再構築して作らせていただきました。

その時の披露宴は700 人ものお客様で賑わっており、たくさんの方々から素晴らしいドレスだったと褒めていただいたことは良き思い出となっています。

常に考えているのは、その時その時に最善を尽くし、お客様の良き思い出になるウェディングドレスをつくっています。

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atelier1デザインがうまれるアトリエ



イベントや写真家としての活動について

岡野:音楽が好きということ、音楽をやっている友人が多いということもあって、彼らと一緒に何か出来ないか、というところから始めました。

ちょうど原宿のVACANT という良いハコがあったのもきっかけです。
今では不定期で開催させていただいております。

毎回違うことをしたくて、次は何をしようか常に考えています。ギター(男子)とポエトリーリーディング(女子)の組み合わせでライブをやったことがありました。

とても実験的でお客さんもどうリアクションして良いかわからなかったと思いますが、終了後はとてもよかったとたくさんの方々に声を掛けていただきました。

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写真は昔から好きで、趣味でやっています。
小さい頃から父が新しいカメラに買い換えたらお下がりをもらっていました。
そんな趣味が高じてコレクションのLook Book の写真は全部自分で撮っています。
また、昨年はLamp harajuku さんとウィンドウインスタレーションというかたちで、コラボレーションをさせていただきました。
「Barbed Wire Kisses」という名前の展示で、 その時は写真家として展示させていただきました。

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デザイナー、ウエディングドレス製作、イベントプロデュース、写真家、と、ものづくりへ関わる考え方を教えてください

岡野:それぞれが別物ですが、全て岡野隆司自身の中から生まれてくるものなので全て同じものとも言えます。ただそれぞれが違う手法で型になっているだけです。

お洋服やウェディングドレスを作ることも、イベントをプロデュースすることも、写真を撮ることも全て同じベクトルでデザインしています。


これからの展望

岡野:2 年前から始めたBLACKDRESS のラインの確立。
それとFOR とla fleur のお店を作りたいです。



- 同席していただいたla fleurデザイナーの岡野奈尾美さんにもお話を伺いました。 -




デザイナーになったきっかけ

岡野(奈):元々アパレル(洋服)のデザイナーをしていました。

当時、小物のみというブランドがなく、ジル・サンダーなど、ミニマルなファッションが全盛の時期にブランドを立ち上げました。
アクセサリーの中でも洋服のようにシーズン展開する、コサージュのブランドがあってもいいのではと考えたのがきっかけです。


デザインをする上で大切にしていること

岡野(奈):音楽が無いとつくれません。

まず、毎シーズンのテーマに音をつけるというところから始めます。
音楽が決まったらそれをひたすら毎日聴いています。
朝から晩までスタッフが嫌になるほど、繰り返し繰り返し何度も聴いています。
寝ている間も頭の中で音が流れているようです。
そして音に導かれるようにデザインが浮かんで来ます。
音楽を繰り返し聴くことにより、そのシーズンの扉が開かれるようです。
la fleur のベースにあるものはDaily に着けることができるということ。
大人の女性は普段から色々な役割をすることでストレスを抱えていると思います。
それを支えるように、la fleur のコサージュがあるといいなと考えています。

洋服にはサイズがありますが、お花にはサイズがなく、年齢もそこには関係ありません。
洋服に着けたときに調和できるように、一番綺麗に見える状態を考え、シーズンごとに女性像を決め、そのはっきりとしたイメージにあうものをつくっています。

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la fleur 17Autumn/Winter Collection 『FLOWERS HE SAW』



本の出版された経緯を教えてください

岡野(奈):当時の装苑の編集長が大変熱心な方で、ずっと前から本を出さないか、というお話をいただいておりました。
しかし作り方の本には興味がなくお返事をにごしていました。

ところがある日、その方がアトリエにいらっしゃって、お互いが面白いと思える本を作ろうと話してくれました。

やるからには真剣にやりたいと伝えて、こちら主導でアートディレクターやカメラマンなど、この人がいいと伝えたんですが、実はそれが通らないと思っていたんです。
でもそれを通していただき作ることとなりました。
その気持ちに応えてくれたので出版に至りました。
ブランドのイメージを崩さず、ファッション誌のような紙の質や文字にまでこだわり、手に取りたくなるような手芸本を目指しました。
それをきちんとかたちにしていただき、今では関わっていただいた全ての方に感謝しております。



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これからの展望

岡野(奈):お客様に対して満足してもらえるものを作りたい。
自分の振り幅を大きくしたい。
新しい技術を知りたい。
それをデザインに落とし込みたい。

デザイン、生産、出荷までを社内で行っていて、これからどのくらい面白いものをつくれるか挑戦したいと思います。

技術的にどこまで深く掘り下げることができるか。

色々な技術を取り入れて、コサージュをつくってみたいという思いがあります。




- お二人の結婚にまつわるエピソードを伺いました。 -




ご自身の結婚エピソード

岡野:結婚する前にすでに6年間一緒に住んでいました。
ある日、義理の妹の結婚が決まり、「自分たちも結婚しようか。」というのが結婚のきっかけでした。
6年間も付き合っていてお互いの両親とも顔見知りだったので、改めて結婚のご挨拶に行った時は気恥ずかしかった思い出があります。


ご自身と奥様が結婚式で着用した装いとそれを選んだ理由

岡野:料亭で両家の親族だけで食事会を行いました。その時は和装で行いました。
翌日は友人達を呼んでのパーティーの時には、奈尾美さんはドレスを着用しました。
デザインは奈尾美さん、パターンは自分、縫製は友人にお願いしました。
当時、お互い若く収入も無く、生地は二人で日暮里へ買いに行きました。
当時はシンプルなスタイルが主流だったので、華美なものではなく、きれいなラインのシンプルなものをつくりました。

自分は一張羅のスーツを横浜のバーニーズニューヨークへ買いに行きました…

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ご自身の結婚パーティーでのこだわりのポイント

岡野:今みたいにプランナーがいた時代ではなかったので、自分たち自身で色々と手配をしました。
友だちを100 人ぐらい呼ぶ予定だったのと、DJ ブース、ピアノがある広い場所を探す必要がありました。
今みたいにネットで検索っていうのが無かった時代なので、タウンページで電話しまくりでした。
結局、都内ではみつからなかったので、横浜の新山下にある、ガラス張りで外に船着き場がみえるレストランに決めました。


結婚前と後での生活の変化

岡野:特にないです。
結婚前からずっと一緒なんで。


結婚してよかったと感じたエピソード

岡野:自分たちは生活も仕事も常に一緒なので、良いも悪いも全て一緒です。

ただ一緒にいることで自分の感性だけではなく、
相手の感性もあわせて使えるところ。

例えば、一人の感性が5 だとしたら、相手の感性が5、掛け合わせると25になるという事です。

振り幅が大きくなったところが良かったと思っています。


お二人の仲の良さを感じ、時には笑顔で時には真面目にと、
終始和やかに沢山のお話をしていただきました。
素材だけではなく、縫製にまでとことんこだわる岡野さんのこれからの展開が楽しみです。

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岡野 隆司(デザイナー)

女性にとっての「花」となってくれればという願いをこめ「FOR flowers of romance」という名のお洋服をつくり続けています

1986年 大阪体育大学卒業
1988年 フォーマルメーカーにパタンナーとして入社
その後、DCブランドやライセンスブランドなどの企業パタンナーとして活動
2001年 退社後、フリーでパタンナーをしつつ自身のデザイン活動を始める
2003年 FORの展示会開催(以後年2回ペースで開催)
2017年 現在に至る

HP:http://www.for-lafleur.com/top/for.html
Blog:http://for-lafleur.blogspot.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/forflowersofromance_lafleur/

profile-lafleur-okanoPROFILE
岡野 奈尾美(デザイナー)

普段の洋服に添える花
上質な装いに添える花
どちらも一輪あるだけでコーディネートの雰囲気が変化します
同じ花を選んでも身につける人が違えば全く異なる世界
胸に添えた一輪からその人の個性や内面がにじみでるのが魅力です
着けた人の色に馴染む
けれどその人の美しさを引き出す力のある
そんな花の世界に携わっています

1986年 文化服装学院卒業後、フォーマルメーカーに入社
1989年 造花メーカーに入社
      アパレルメーカー、デザイナーのコレクション、CMなど様々な花の仕事に携わる
1994年 退社後独立~花と服との美しい関係を模索
1997年 大阪で「花と旅」をテーマに展示
2000年 この頃より東京の若手デザイナーとの仕事に携わる
2003年 la fleurの展示会開催(以後年2回ペースで開催)
2017年 現在に至る

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