第五回目となる今回は、レディースファッションブランドのREKISAMIを展開しながら、
ご自身の名前を冠としたChika Kisadaを新しく展開した幾左田千佳さん。
ファッション誌はもちろん、業界の注目度も高く、
ご自身のクリエイションを惜しみなく表現されています。
そんな幾左田さんに普段なかなか聞けない【 結 婚 】をテーマにお話を伺いました。
アトリエで、新しいコレクションに囲まれながら、
インタビューを行いました。
どうぞ最後まで楽しんでください。
デザイナーになったきっかけ
幾左田:
元々洋服が大好きで、いわゆる洋服オタクでした。
それはもう、家がたつほど洋服を買っていました。(笑)
バレエダンサーを引退してから、アパレル職の中で色々な業務の仕事などをしていたのですが、
大好きな洋服の世界で何かをしたかったんです。
そんな時、今は亡き恩師ですが、
「ブランドをやってみない?」と、
お誘いを受けたのがきっかけではじめることになりました。
恩師の強力なサポートを頼りにブランドを立ち上げましたが、
当時26歳で右も左も分からず…独学で学びました。
そんな中、恩師からは時に厳しく、楽しみながら、
そして丁寧に色々なことを教わりました。
REKISAMI立ち上げ時は、20~30型ほどで、
初めての展示会は達成感ももちろんあったのですが、
難しさを痛感しました。
デザインをする時のアイデアの生まれ方
幾左田:
あらゆるもの全てが対象ですね。
映画が好きで、ジャンルは様々、どの国の作品かも問いません。
その中でもフランス映画は好きな作品が多いですね。
複雑でじれったくて曖昧で。結末もなかなか読めなかったり。
そんな独特な作風が面白いと思います。
そのことについて後で自分で考えることが好きです。
他には写真、美術など。
そして、今でもバレエを中心に、舞踊関係の舞台はよく観に出かけます。
自分が刺激になると思うことをリサーチする感じです。
やっぱり楽しんでものづくりをしていきたいと思いますからね。
デザインをする時のこだわりのポイント
幾左田:
一番のこだわりポイントは、着用時の着心地です。
顔立ちがきれいにみえて、身体がきれいにみえる、
女性が作る、女性ならではの、
女性の為の美学や着たときの高揚感などは特に考えるようにしています。
むずかしいのですが、「瞬間を切り出す」と、言いましょうか。
人が着ることが洋服の最終着地なので、
動きを感じるもの、日常着が風になびくことで、
きれいにみえたり、ドラマティックにみえるように。
それはバレエダンサーであった過去の経験がそう感じさせているのかもしれませんね。
REKISAMIとChika Kisadaのデザインをする上での表現の違い
幾左田:
基本的な着心地という面では共通です。
REKISAMIは、不安定な要素をリリカルにコンセプチュアルにまとめたブランド。
Chika Kisadaは、REKISAMIよりソリッドでコンセプトに縛られないもの。
女性の内面の部分や隠れた強さをもっと引き出したブランドです。
REKISAMI(レキサミ)16S/Sコレクション
Chika Kisada(チカキサダ)16S/Sコレクション
Chika Kisadaの立ち上げの経緯
幾左田:
もっと凝縮したコレクションを小さな枠の中で表現したかったことです。
それと、海外でも本格的に始動したかったのでタイミングをみていました。
― 展開カラーに白と黒が多く感じますが何か意図がありますか?
個人的に着ることが多いのが白と黒だということ。
あとは毎シーズンのキーカラーを引き出す為の”ベースカラー”としての意味合いでもあります。
ご自身の手掛けるブランドからウエディングドレスをつくるとしたら
どんなイメージのものをつくりますか
幾左田:
軸にあるドラマティックな動きを表現したいと思います。
世界をロマンティックにみせられるようなドレスに。
元バレエダンサーとしての観点から、ドレスを着ている姿を綺麗に、
ちょっとした動きからも素敵にみせられるドレスを作りたいと思っています。
これからのお仕事の展望など
幾左田:
今やっていることをひとつひとつ丁寧に磨きをかけていきたいです。
それと海外での展示会をもっと充実させたいですね。
プロとしての意識をもって、全てをマイフェイバリットにしたい。
バレエの世界はとても厳しい世界でした。
そういった中で自分の実力を常に見直し、反省を繰り返してきました。
それは今違うこの世界でも全く同じで、
同じメンタリティで今よりももっと成長していきたいと思います。
結婚にまつわるエピソード
幾左田:
夫とは、結婚前から一緒に住んでいたのですが、
特にきっかけというきっかけはなくて…
自然な流れで「そろそろ結婚しようか。」というようなかたちで結婚をすることになりました。
もともと式を挙げる予定はなかったのですが、
入籍をした翌年に急遽挙げることになったんです。
何で急に式を挙げることになったかというと、
お互いの両親を喜ばせたかった、
というのが式を挙げることに至った経緯です。
予定していなかった式で、急遽決めたこともあり、
準備期間がとても短くてとにかくバタバタでした。
結婚式に着用した装いとそれを選んだ理由
幾左田:
普段、洋服をつくっているので、ほとんど和装には無縁だったということもあり、
また、日本の伝統に触れたいというおもいもあって、
和装を選びました。
式はお互いの家族だけを集めて、
幼少時代からとても馴染みの合った場所、
思い入れのある代々木八幡宮で行いました。
結婚パーティーでのポイント
幾左田:
親族だけで行ったパーティーは、浅草にある料亭で小さな宴を8名で、
しっとりとお酒を飲みながら行いました。
その時に着用した着物は、何か特別な時の為にと思って買っておいた、
明治時代につくられた着物を。
明治時代につくられた着物
身内だけで終わらせようとしていたのですが、
夫の友人たちが中心となって、サプライズでパーティーを開いてくれました。
ある休日に、弟から突然連絡があって、何も聞かされず指定された場所に行くと、
そこには普段、地方にいる友人たちも含めて沢山の人たちが集まってくれて、
びっくりしました。
わざわざビデオレターでメッセージをくれたりと、
私たちの結婚を祝福してくれました。
パーティーは終始友人たちと楽しく、ライブをしてくれたりと、
この時、改めて感じたことが、友人の大切さです。
余談になるのですが、呼ばれたその日は「もしや。」と思い、
会場にはChika Kisadaのホワイトカラーのドレスを着ていきました。(笑)
ライブの様子
結婚前と後での生活の変化
幾左田:
一緒に暮らし始めてから1年も経っていなくて、特に生活の変化という変化はないのですが、
結婚をしたことをきっかけに、両親とも今までよりもさらに絆が深まった感じです。
また、今までは同棲をしていたという感覚が、結婚をして家族になり、
新しく家族という絆が芽生えました。
夫とは、お互いに理解しあえて、価値観がとても近いと思っています。
尊敬しているパートナーと一緒に暮らしていることは、日々刺激や学びがあり、楽しいです。
よく二人で買い物に行ったり、ファッションの話をしたりと洋服談義に華が咲き、
時にはヒートアップすることもありますが、お互いリスペクトして自由に生活を楽しんでいます。
2ブランドをかかえ、海外での展示会など、
とても意欲的な幾左田氏。
自由なインスピレーションから表現されるアイデアがこれからも楽しみです。
PROFILE
幾左田千佳(デザイナー)
幼少期より学んだクラシックバレエを通じ、
コンクール等で成績を収め、様々な舞台に参加。
バレリーナとしての公演活動等を経て舞台芸術の創作に携わる。
これまで培った経験を活かし、2007年、レキサミを立ち上げる。
2014年、チカ キサダ(Chika Kisada)をスタート。
■REKISAMI / レキサミ
www.rekisami.com
■Chika Kisada / チカキサダ
www.chikakisada.com
TEL:03-3373-7493